笑う主治医 刺される私
原因不明のめまいは続く。
様々な検査をくり返すもことごとく正常だと言う。
同様の現象で病院をたらい回しにされる人もいるようだ。
いきなり総合病院送りになり入院させられた私は実はラッキーなのか。
そうでも思わないとやってられん。
入院当初は検査の連続で
身体中いろいろ刺されるのにとにかく閉口。
特に髄液採取が最悪だ。
背中から針を突っ込みゴリゴリと。
主治医の女医は笑いながら言う。
『XXさんもしかしてお酒強いー?』
人が背中刺され苦しんでるのに何を言い出す。
ちなみにこの主治医は学生時代の後輩
イコール妻の友人に激似。
声や仕草まで似ていてメチャ親しめる。
まあそれは置いといて。
『その通りだが何か』
私は昔から酒にほとんど酔わない。
いくら飲んでも顔は赤くならない。
まあ飲み過ぎれば二日酔いはあってもそれがせいぜい。
『アルコール強い人は麻酔効かないらしいよ』
おいお前は何故それを笑いながら言うんだ。
つい声に出して言いそうになる。
目の前にいるのは主治医であって後輩ではないのだが。
喋り方まで似ていてついこちらも気安くなってしまう。
地獄の髄液採取。
私はそれを2度も味わう羽目になる。
『XXさんまた背中注射するよー』
だから何でお前はそんな楽しそうなんだ。
コイツはドSだ。間違いない。
まあ暗くなりがちな入院生活を明るくしてもらえてるのだと感謝している。
気安く見えて肩書は副部長。
本当はこう見えてエライ先生なんだね。
明るくしてくれるのも計算なんだろうね。