脳動脈硬化が進行まるで60代
主治医の説明は続きがある。
脳の画像を更に詳細に見る。
画面は脳動脈画像のアップに切り替わる。
すると凸凹した管が現れた。
「通常この年齢だと真っ直ぐ綺麗な管の筈なのね」。
私の脳血管だという画像は如何にも凸凹で
所々極めて細い部分もあった。
「動脈硬化が進んでいて血管年齢としては60代」。
何だか笑えてしまったが
妻からは
「笑い事じゃないでしょ」
と冷たい視線。
でどうすりゃいいのよ。
「まあ残りの人生はカスミを食って生きるしかないね」
動脈が若返るのは不可能ではないが非常に困難とも。
しかし
入院中の食事をカスミと呼ぶのならば
カスミ上等だ。
食生活が180度変化し
食材そのものの旨さ
食べる順番変えるだけでも味が変化すること
今迄全く気付きもしなかったことを
少しは知ったつもりだ。
ドンブリものドカ食いだけしていた私。
人生だいぶ損していた。
カスミ上等。
大歓迎だ。
主治医の説明も終わり
いざ退院手続きだ。
精算伝票がこれから来ると言う。
荷物に囲まれたベッドでしばし妻と待つ。
届けられた伝票を見て唖然とするのはまだ知らない。